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ロシアは、占領したウクライナ領において疑似国民投票を実施する準備を進めている。疑似国民投票の結果はロシアがウクライナ領土を併合するための「法的根拠」となり、ロシアが世界にその併合を認めさせるか、核の脅迫を使った上で併合を怺えさせるかということを要求するだろう。「投票」の結果は法的には無効であるが、ウクライナ国内外の情勢に軍事的、人道的、政治的に大きな影響を与える。早速にロシアの計画に対抗しなければならない。コミュニティネットワークOPORA」は、ロシアが疑似国民投票にどのように準備しているかについて述べ、疑似国民投票開催による占領地住民やウクライナや世界への脅威を分析してみた。それでOPORAは、対抗策について考え、ウクライナや他国にその対抗策を勧告してみた。

疑似国民投票の準備はどのように進んでいるか

ロシアの代表者は、一時的に占領されたウクライナ領での疑似国民投票の準備の開始を発表した。疑似国民投票の開催日は発表されていないが、2022911日にザポリッジャ州とヘルソン州において「投票」を行われることが示唆されている。ドネツク州とルハンスク州を全て侵略できた際、ロシアはそこにも疑似国民投票を実施するつもりである。

2022723日、ロシアの占領行の知事は、ザポリッジャ州とヘルソン州において国民投票に選挙管理委員会の設置を開始したと発表した。そして、730日に国民投票の準備に対する占領行政はロシア中央選挙管理委員会に協力を求める予定であるという情報が流れた。それは選挙管理委員会への占領地域の住民の募集にも資源にも問題があると示しているのだろう。2014年にクリミア半島での疑似国民投票にロシア中央選挙管理委員会が参加しなかった理由は、「地域の自決」というロシアの公式プロパガンダと矛盾するからだ。しかし、今後はロシア中央選挙管理委員会が参加する可能性がある。

224日にウクライナ中央選挙管理委員会が国家選挙人名簿へのアクセスをブロックしたので、占領行政はその情報を貰えない。しかし、占領地において住民の個人情報が収集されている。おそらく、ロシアは選挙人名簿を新しく作成している。さらに占領行政はへルソン州国立公文書館から選挙資料を窃盗した。

疑似国民投票の前に占領者はロシアへの併合をサポートしている運動を行う。「国民投票」の結果が住民の意思を反映しているという錯覚を作り出すためにその運動が行われる。それについてウクライナ保安庁とウクライナ国防省情報総局(GRU)は警告した。GRUは、疑似国民投票を支持する運動の参加者は、いわゆる人道的援助やお金を与えることで勧誘されていると報告した。このような運動には、「連邦青少年局」(«Росмолодёжь»)、統一ロシアの「若い警備員」(«Молодая гвардия»)という青年部、「新ロシア派ボランティア」(«Волонтери zа росію»)、「ロシアと共に」(«Мы вместе с Россией»)という親クレムリン派の非政府組織のメンバーが招待される。これらの組織にはロシアを支持している原住民のふりをしているロシア人が参加しており、ロシアのプロパガンダの撮影に協力している。

疑似国民投票を正当化するために、「選挙監視団」も招待されることになる。ザポリッジャ州のロシア占領地の知事であるヴォロディミル・ロゴフ氏はそれについて述べた。こうした「選挙監視団や専門家」の関与はロシアにとって普通だが、民主的な選挙のヨーロッパのプラットフォーム(European Platform for Democratic ElectionsEPDE)はこれを繰り返し批判し、ロシアが雇った「選挙監視団」の結論を正当なものとして認めないよう勧告している。

一時占領地の住民はロシアへの併合を支持するように説得され、占領行政や疑似国民投票への抵抗は過激主義への呼びかけとみなされる。それにもかかわらず、一時占領地のウクライナ人は侵略者にゲリラ戦の方法反対している。

ロシアは一時占領地においての疑似国民投票にどのように準備しているか

疑似国民投票を実施する前に、ロシアは一時占領地の住民の生活を可能な限りコントロールしようとしている。そのコントロールは、情報封鎖とロシアのプロパガンダの流布、ウクライナの他の地域との経済関係の断絶と、住民に強制的なパスポート取得と、法執行機関のシステムの構築などによって実施している。

  • 占領地において占領警察が設立されている。

占領開始当初、ルソン州とザポリッジャ州においてクリミアなど以前から占領されたウクライナ領の人々がの占領警察に採用され、そして、7月にはロシア内務省の臨時事務所を作り、ロシア人警察官を呼び寄せた。明らかに、それはロシアのプロパガンダに治安の映像を作り出すために疑似国民投票準備の一環である。さらに、ロシアの警察は、過激主義対策という言い訳し、占領軍に協力の拒否とウクライナ支持で市民を常に抑圧している。

  • 占領軍は、援助と引き換えにウクライナ人の個人情報を収集している。

ロシアは、自分たちが始めた人道的災害を利用し、ウクライナ人の個人情報を収集し、金銭や食料の代わりに疑似国民投票に参加できる人物を探している。人道的任務の外見で、ロシアの与党「統一ロシア」はウクライナの南部で積極的に活動している。この政党のブランドのもと、人道的援助を配布し、その援助が必要な人と既に受け取った人の名簿を作っている。

  • 占領軍は占領していないウクライナとの経済関係を破壊している。

ロシア人は、占領地の住民に対して、財政援助と引き換えに個人情報を入手し、プロパガンダ活動に参加させている。同時に、ロシアは一時占領地にルーブル流通を促進するのに、銀行の平均為替レートが1フリヴニャ=2.6ルーブルであるのに対し、意図的に1.5ルーブルまで為替レートを引き下げている。従って、フリヴニャで商品やサービスを払うのが高くなっている。そして、占領行政は、企業に対してフリヴニャとルーブルの両方で価格を表示させ、支払いを受け入れることを義務づけ、それが守られているかどうかを常に監視している。占領地での企業に対してロシアは、新たに創設された「財産財団」に登録することを義務付けている。そうしなければ、占領者は企業と財産を奪う。

  • ロシア人は、占領地の住民にロシアのパスポートを強制的に配布している。

強制的なパスポート化はもう一つのウクライナ人の個人情報の収集方法である。この方法によって占領者に(非)忠誠心を持つ人々を認知している。その他に、占領者はロシアのパスポート化に同意する人々を利用し、戦争と疑似国民投票を正当化している。

7月に、プーチン大統領はウクライナ人に対してロシアの国籍取得の手続きを簡素化した。そして、一時占領地ではロシアのパスポートの発行機関を多く創設した。メリトポリにはロシア内務省移民局の駐在員事務所が開設された。

以前から占領されたウクライナ領の経験を考慮すると、ロシアのパスポート化に拒否は、強制追放、住居権と財産の剥奪などにつながる可能性がある。

  • ロシアは一時占領地におけるウクライナの情報を封鎖している。

情報封鎖のために、ロシアは占領地にあったインフラを利用している。20143月から20227月にかけて、ロシアはウクライナの全ての一時占領地で、少なくとも131のメディアインフラ施設(テレビ塔、中継器、ラジオ送信機)を奪取した。その中に凡そ48個の施設は2022224日から奪取された。

一時占領地の地元のジャーナリストは誘拐され、脅迫されている。それで、74日に一時占領地での放送を停止したのは地域テレビ会社が14社、地方テレビ会社は53社、地域ラジオ会社18社、地方ラジオ会社47社である。これはウクライナの全放送局の約15%にあたる。占領地の住民は実際、ローカルニュースが発信できない状態に置かれた。

少なくとも46のウクライナのインターネットプロバイダーが占領地で営業を停止させられた。プロバイダーの一部は恐喝によってロシアのネットワークに接続させ、残ったプロバイダーが占領行政に奪われ、そのトラフィックをロシアのプロバイダー向けた。占領地で活動を続けることができたウクライナの地域オンライン出版社は、最終的にロスコムナゾール[ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁]によってブロックされ、住民がアクセスできない状態になった。

  • ロシアは一時占領地において嘘のネットワークを展開した。

占領軍は、奪取したウクライナの施設と設備によってロシアのテレビとラジオを放送し、新しいプロパガンダメディアを創設している。224日以降、ロシア占領行政はテレビチャンネル「タヴリヤ」「ZaTV」「新マリウポーリ」を開設し、現地ブランド「アゾフ海沿岸地方ワーカー」「上ドニプロ地方の真実」「ザポリージャ新聞」「カホウカ新聞」で出版し、オンライン情報資源を多く創設した。

しかし、ロシアは主にテレグラムを通じてプロパガンダを広めた。224日以降、一時占領地や占領したかった地域の住民を対象に、100以上のテレグラムチャンネルが作られた。その中には、220日から23日の侵攻の前夜に作られたチャンネルもある。そのうちのいくつかは占領行政の公式チャンネルとして作られ、他のチャンネルが地元のメディアや情報資源を模倣し、ウクライナ領土での軍事作戦に関するロシアのプロパガンダを流布している。SBUはこのチャンネルのロシアとのつながりを確認した。

ロシアは余程、占領下のクリミアと一部のドネツク州とルハンスク州での疑似国民投票を実施したことで現在の違法行為の基礎を準備し始めた。しかし、2014年にロシアが「国民のイニシアチブ」を模倣して侵略を隠したとすれば、今は公に行動している。また2014年と同様に、世界に侵略の事実を直面させるつもりで、国際法違反行為に強い反応を受けないことを望んでいる。現在、世界と国際機関はロシアの期待に応えられるのだろうか。

 

ロシアがウクライナ領土で開催する疑似国民投票の脅威とは

  • ロシアは世界に核恐喝を強める。

疑似国民投票の以降、ウクライナ領土がロシアに強制的に占領されれば、核恐喝を用いてその「新領土」を反撃できない根拠となる。ウクライナが領土を解放しようとすれば、ロシア指導者は、侵略された領土を含むロシアの全領土を守るために核兵器を使用できると主張しかねない。

核恐喝を用いてロシアは西側諸国に対話をさせ、侵略されたウクライナ領土をロシア領土として認めることに圧力をかける。

20226月、プーチンは、ロシアが核兵器を用いて外部の脅威から「自衛」できる場合を定めた法令に署名した。しかし、この「脅威」のリストは極めて広範であり、核兵器使用の条件を解釈する権利を持つのはロシア大統領のみである。また、ロシアのプロパガンダもロシアへの「脅威」を作ることができる。例えば、ウクライナの大量破壊兵器の開発や使用という讒言で、核恐喝を強める可能性がある。また、ロシアは疑似国民投票後、新たに侵略した領土に核兵器を配備できる。核兵器の運搬手段として使用可能な39個の装置が配備されている占領下のクリミア半島と同様になる。

  • ロシアは占領地に強制動員を展開する。

占領地の民間人は国際法によって保護されている。その中に、戦時における民間人の保護についてのジュネーブ条約の第51条は、占領地住民を強制的に動員したり、動員するのに圧力を与えたり、あらゆる方法で占領軍に参加を促進したりことを禁止する。これまでにもロシアは、占領されたドネツク州やルハンスク州の住民を強制的に動員したことでこの条約を違反した。しかし、疑似国民投票以降、ロシアは占領地住民をロシア国民とみなし、全てのロシア国民に適用される規則に従って徴兵制の対象とする予定である。これは強制動員の規模拡大につながる。その上、ロシアが行っている強制的なロシアのパスポート化も強制動員の規模拡大に影響を及ぼす

  • 今後もウクライナ人にロシアのパスポートが配布され続ける。

ハーグ陸戦条約(陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約)の45により、占領地の住民に敵対勢力への忠誠を誓わせることは禁じられている。しかし、ロシアはこの条約を違反し、ウクライナ人にロシアのパスポートを強制的に配布している。

その目的はいくつかある。まず、占領行政はロシアに忠誠を誓わない人や親ウクライナ活動家を特定し抑圧する。占領されたクリミアと同様に、ロシアのパスポートを放棄した人に対しては、社会扶助、医療、教育、仕事などのアクセスが制限される。もう一つの目的は、ロシアのパスポートを受け取った人に対してロシアはロシアの国民とみなし、必要となれば抑圧する機会を広く持つことになる。ヘルソン地方において2022224日以降に生まれた子どもが選択なしでロシア国籍を取得する、と占領行政は主張している。

  • 占領地にはより多くのロシア人が移住し、ロシア語が強制的に普及させる。

例えば、2014年以降、50万人のロシア人がクリミア半島に移住し、約3万人のクリミア・タタール人が政治的迫害を受け、クリミアを出た。ウクライナ人は10万人以上が半島を出た。占領地へロシア人の移住を促進するために、ロシアは財政的な援助したり経費の補償したり、住居の提供したりした。一方、ロシアは一時占領地であるヘルソン州とザポリージャ州の学校で91日[新学年]からロシアのカリキュラムに変更すると発表し、マリウポリを含む一部の地域では既に教育過程の「脱ウクライナ化」が進んでいる。それに、ロシアは、ドンバスとクリミアと同様に、住民の宗教生活にも干渉していく。

 

疑似国民投票がヨーロッパにもたらすリスクとは

ロシアは、国家国境の不可侵の原則を含む国際法の原則を無視し、違反している。フールスケールの侵略が始まった以降、ロシアはウクライナの領土で少なくとも17500件の侵略犯罪と戦争犯罪を犯した。それを考慮し、占領地であるヘルソン州、ザポリージャ州、ドネツク州、ルハンスク州で疑似国民投票を実施することは、ロシアが国際法に反する行動をし続けるという意味がある。プーチンはウクライナを完全に滅亡したいのみならず、ロシア帝国の復活について独自の考えを持っている。ロシアには多くの欧州諸国と国境線を共有しているため(その上、ロシアは実際にベラルーシを支配している)、疑似国民投票の開催に成功すれば、国際社会から強い拒否反応がなかったら、ロシアが侵略的野心を強め、ロシアに対する外交的・政治的影響力の措置を不可能にする。特に脆弱になるのはモルドバ、カザフスタン、バルト諸国などのロシアとの潜在的な領土問題やいわゆる安全保障問題のある国である。

 

ロシアのシナリオを阻止する方法:OPORAの勧告

2014年、ロシアはウクライナのクリミア半島を占領した時、国際社会から強い反応は得られなかった。当時、国際機関はロシアがクリミアで行った疑似国民投票の違法性についての声明や決議にとどまり、事実上にロシアのクリミア侵略を容認した。ロシアの計画とその潜在的な危険性を予測するためには、当時の侵略経験を考慮しておく必要がある。

ウクライナが占領地を解放できるように、パートナー国はウクライナへの軍事援助を増やし、制裁でロシアにもっと圧力をかける必要だ。

ロシアをテロ支援国家として指定する必要である。そのためには、米国の法律により、ロシア政府が国際的なテロ行為を何度も支援してきたと国務長官は判断する必要がある。現在、キューバ、北朝鮮、イラン、シリアのみがテロ支援国家と指定された。「テロ支援国家」として指定されたら、その国に強い制裁措置(米国の対外援助制限、防衛製品の輸出・販売禁止の導入、二重使用品の輸出規制など)が適用され、テロ支援国家との取引を継続する国に対しても制裁が課される。

また、ウクライナ領土をロシアへの統合している、疑似国民投票を準備しているロシア政府官僚のリストを速やかに更新し、その人に個人制裁が適用する必要がある。

ロシアを国際機関から排除する必要がある。国際法のシステムを破壊しようとするロシアは、組織の任務と使命に合致しないので、欧州安全保障協力機構(OSCE)から排除すべきである。また、国連安全保障理事会のメンバー資格停止の可能性についての議論もすべきである。

さらに、国際機関やパートナー国は、ウクライナの領土を侵略し続けているうちに、ロシアとの交渉を再開しようとしないべきである。一方的に譲歩すれば、現在の状況を悪化させ、紛争と対立の拡大を招くのみである。

パートナー国はウクライナへの軍事支援を増やす必要がある。戦場で戦略的優位立場に立つ、占領地の解放を開始するためには、ウクライナ軍に適切な量と質の重火器を速やかに提供する必要がある。特に、NATO規格の多連装ロケット砲や長距離砲システムと弾薬、対空・対ミサイル防衛システム、装甲車、無人航空機が必要としている。

ウクライナ国家は、ロシアの疑似国民投票の準備・開催過程について他国と国際機関に定期的に知らせるべきである。同時に、ウクライナは、疑似国民投票の準備に起因された新たな制裁のリストを提案する必要がある。

ウクライナは、疑似国民投票の準備に関する協力犯罪を記録と調査すべきだ。但し、生き残るために占領者と強制的に交流した住民に対して起訴することを控えることが重要である。

占領地のウクライナ国民は疑似国民投票の準備や開催にいかなる方法で参加しないようにすべきである。別の資料には、コミュニティーネットワーク「OPORA」が、占領地の住民に対して、疑似国民投票中の行動に関する明確な勧告を策定した。

疑似国民投票を主催したい人は、ウクライナの法律によると、疑似国民投票を組織すれば、5~12年の禁固刑、仕事の解任、財産の奪取までの刑罰を受けること[16歳以上の国民に適用される]について忘れてはならない。また、国民投票の準備や開催に参加した者は国際制裁の対象になるのだ。

ロシアがウクライナの占領地で実施しようとしている疑似国民投票は、国際法およびウクライナ憲法に違反している。その結果は法的に無効であるが、実際は国際社会からの明確な非難反応がなければ、ロシアの残虐行為の拡大を許すことになる。それでウクライナやヨーロッパやその他の国家に新たな脅威が生じる。ロシアがウクライナで始めた戦争をある日に終わらせる決断を出すと信じる理由はない。ロシアを止めるべきだ。

 

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